研究課題/領域番号 |
10670920
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
精神神経科学
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
松浦 雅人 日本大学, 医学部, 助授 (60134673)
|
研究分担者 |
坂井 禎一郎 日本大学, 医学部, 助手 (80225763)
小島 卓也 日本大学, 医学部, 教授 (40014203)
高橋 栄 日本大学, 医学部, 助手 (70297802)
|
研究期間 (年度) |
1998 – 1999
|
研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
|
配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1999年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1998年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
|
キーワード | てんかん精神病 / 異種性 / 多軸診断 / 側頭葉てんかん / 強制正常化 / 焦点側方性 / 海馬萎縮 / 多因子 / 多軸分類 / てんかん類型 / 精神病類型 / 発作・脳波関連 / 発病背景 / 器質的背景 |
研究概要 |
てんかん患者にみられる精神病の成因を明らかにする目的で、臨床情報をもれなく記載する新たな多軸診断表を作成し、多施設において調査した。5施設より128例が集積され、男性63例、女性65例、平均年齢39.9±12.8歳、てんかん発症平均年齢13.5±9.8歳、精神病発症平均年齢27.9±9.5歳であった。第1軸の精神病類型は、妄想型分裂病様障害、妄想性障害、急性一過性精神病性障害、破瓜型分裂病様障害、緊張病性障害、幻覚症の順で多く、改めてその多様性が確認された。第3軸の精神病発症時の脳波については、不変例が多く、正常化例は8例、悪化例は4例と少なかった。焦点側に左右差はなく、側頭葉てんかん例でも左側22例、右例22例、両側焦点13例であった。第5軸の脳画像検査では49例に異常が確認されたが、その内容は多彩で脳広汎性萎縮、片側海馬萎縮、脳局在性萎縮、腫瘍性病変、皮質形成異常の順で多かった。既往例の脳病変は34例で確認され、脳炎、出産時障害、脳挫傷、乳幼児期けいれん重積、脳腫瘍性病変術後、脳血管障害の順で、これも多彩であった。知的障害は軽度38例、中等度12例と多く認められた。ついで、これらのてんかん性精神病例と、対照として年齢、性、精神病初発年齢をマッチさせた機能性精神病53例について、McGuffinらが作成したOPCRITを用いて多重操作化診断を行った。評価者間一致率は、90%以上29項目、80%以上26項目、70%以上18項目、60%以上4項目と、OPCRIT評価の妥当性が確認された。てんかん精神病では機能性精神病に比べ、Schneiderの1級症状、妄想体系、1週間以上続く幻聴、被害・迫害妄想、活動の緩慢化、思考の貧困化、感情鈍麻が少なく、理解困難な会話と不適切な感情が多かった。てんかん精神病のDSM-IV診断は、特定不能の精神病性障害が多く、これは側頭葉てんかんと発作後精神病に特徴的であった。てんかん精神病は機能性精神病とは異なったclinical entityと考えられたが、多くの異種性を持った群であり、その成因の同定に本研究で用いた多軸診断による亜型評価が有用であった。
|