研究課題/領域番号 |
10670960
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
横田 昇平 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (80231687)
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研究分担者 |
奥田 司 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (30291587)
薗田 精昭 (園田 精昭) 京都府立医科大学, 医学部, 助教授 (60206688)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
1999年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1998年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | FLT3遺伝子 / チロシソキナーゼ / 遺伝子変異 / 急性骨髄性白血病 / tandem duplication / 骨髄異形成症候群 / チロシンキナーゼ / FLT3 / MDS |
研究概要 |
初期造血段階において、FLT3はkitと並ぶ重要な制御因子のひとつである。この遺伝子は急性髄膜性白血病(AML)の約20%でその膜近傍領域の一部の塩墓配列が重複(tandemduplication : TD)する。本研究の一年目、この変異の臨床的な意義、ならびに細胞の増殖にどのような変化をもたらすのかについて検討した。またFLT3/TDがAML患者の予後に及ぼす影響について、AML患者100例を対象としてFLT3/TDと患者の臨床所見、予後との関連を検討した。成人AMLにおいては、5年間のdisease free survival rate(DFSR)は陽性群で19.2%、陰性群で44.3%で、いずれも両群間で有意差があり、FLT3/TD予後不良因子であることが明らかになった。また小児AMLでは、FLT3/TDは約5%と成人に較べ低頻度であったが、DFSは陰性群で陽性群に比較して明らかに短かった。MDSにおいてはAMLへの進展にともなdenovo leukemiaと同頻度に増加することから、染色体異常、N-RAS,TP53遺伝子変異などとともに白血病に重要な役割を果たすとみられ、予後不良因子と考えられている。次にCos7細胞を用いた異常リセプター蛋白の発現およびリン酸化の解析については、共同研究者奥田と研究を進め、FLT3の遺伝子の傍膜貫通部に様々な長さの塩基配列を挿入した変異体を作製し、これをCos7細胞に導入し発現される蛋白を解析している。この結果、挿入されたアミノ酸の配列にかかわらず、すべてでリガンドであるFLには非依存的に、FLT3受容体が重合し、そのチロシン残基がリン酸化することが明らかになった。これらの所見からTDは傍膜貫通部を伸長させることで、受容体としてFLT3の機能を増強するものと考えられた。FLT3/TDのおこるメカニズムについては、遺伝子の一部に回文配列に近い構造があり、これがペアピン構造を形成してreplication slippageを招来し、TDが生じるものとされ推測されている。FLT3/TD変異をもつAML患者白血病細胞をメチルセルロース培地で培養し、各種造血刺激因子の添加による影響をコロニー形成能(L-CFU)でパネル化して評価した。FLT3/TD陽性細胞はL-CFU形成能は陰性細胞より高く、陰性細胞がFLT3リガンドの添加によりコロニー数が増えるのに対し、陽性細胞では増加はみられず、先の蛋白発現実験の結果を反映するものとなった。
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