研究概要 |
免疫グロブリンH(IgH)鎖遺伝子とリンパ腫関連遺伝子をプローブにして,間期核double-color FISH(DC-FISH)法によって非ホジキンリンパ腫173例を検索し、70例(40.5%)にIgH転座を検出した.うち52例(74.3%)で相手遺伝子が同定でき,BCL2 19例,BCL6 16例,BCL1 11例,c-MYC 7例,PAX-5 2例であった.3例で同時に2つの相手遺伝子が見だされ、一方はc-MYCで,他方はBCL1,BCL2,BCL6であった.いずれも治療抵抗性で,白血化と髄膜浸潤を認めた.転座相手が不明の14q+をspectral karyotyping法で解析し,t(10 ; 14)を2例,t(2 ; 14)と11q13を切断点としないt(11 ; 14)を各1例,同定できた.マントル細胞リンパ腫の5例はすべてBCL1/lgH転座が陽性であり,PAX-5/IgH転座陽性の2例はlymphoplasmachtoid lymphomaであった.lgH転座相手をFISGで検出することによって,REAL分類によるリンパ腫の診断を正確に行うことができると考えられる. 次に,MALTリンパ腫に特異的なt(11 ; 18)の18q21からMALT1を単離した.MALT1はリンパ造血細胞に優位に発現、免疫グロブリンのスーパーファミリーに属する構造を持ち,接着分子として機能している可能性がある.MALT1領域と11q21をカバーするYACをプローブにするDC-FISHによって,t(11 ; 18)を間期核で検出する方法を確立した.B-NHL39例のうち4例(肺MALT リンパ腫3例と胃MALTリンパ腫1例)と,12例のマクログロブリン血症のうち1例でt(11 ; 18)を検出した.MALTリンパ腫では染色体分析が困難な場合が多く,今回開発した間期核FISH法は迅速な染色体遺伝子診断法として応用できる.
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