研究課題/領域番号 |
10670967
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
服部 豊 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20189575)
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研究分担者 |
池田 康夫 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00110883)
木崎 昌弘 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20161432)
鎌田 民弘 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90265794)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1999年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | チオレドキシン / 造血幹細胞移植 / 遺伝子治療 / 薬剤耐性 |
研究概要 |
レドックス制御遺伝子であるチオレドキシン(TRX)は、活性化酸素の還元能を有しており、抗癌剤や放射線照射から細胞を保護する作用が推定されている。これを利用して大量抗癌剤投与時に骨髄ほか生体内の正常細胞を抗癌剤や放射線から保護し新しい造血幹細胞移植法を開発する基礎固めを試みた。平成10年度は、各種造血器腫瘍細胞株における発現を検討した。RNAブロットの結果いずれの細胞においてもごく弱い0.6kbの発現しかとらえられず、内因性TRXはごく少量と考えられた。次にTRX遺伝子をNIH3T3細胞に導入し高発現株を得、これを用いて各種抗癌剤に対する耐性能を検討した。TRX導入細胞は過酸化水素・シスプラチン・シクロフォスファミドの活性体である4ヒドロキシシクロフォスファミドにも若干の耐性能獲得を示した。平成11年度には、骨髄細胞など造血細胞へのTRX遺伝子導入を試みたが、導入細胞を得ることが困難という問題に突き当たった。これは、造血細胞への遺伝子導入効率が低いという技術的問題によると考えられる。これを克服するために、本来血液細胞に発現していない角化細胞増殖因子(KGF)受容体遺伝子をTRX遺伝子と共に導入し、リガンドであるKGFで刺激することによってわずかに遺伝子導入された細胞を特異的に増幅させるという全くユニークなシステム開発に成功した。この際32Dを用いた実験では、32D/KGFR細胞の形態を観察したところKGF刺激は明らかな分化誘導を伴わないことも判明した。KGFR遺伝子を導入したマウス骨髄細胞をKGFR遺伝子を導入存在下で生体外液体培養を試行したところ未分化なCFU-Mixコロニーも著明に増幅することも判明した。従って、KGFR遺伝子導入は、血液細胞の特性保ちながらごく少量の遺伝子導入細胞を選択的に増幅させる新しい有用な方法と考えられる。TRX遺伝子と同時導入することにより、将来新しい造血幹細胞移植法として期待される。
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