研究課題/領域番号 |
10671012
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
腎臓内科学
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 克己 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (90056771)
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研究分担者 |
秋岡 裕子 (秋岡 祐子) 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (90212422)
白髪 宏司 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (60175396)
吉岡 俊正 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (60146438)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1999年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1998年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | AcSDKP / アンジオテンシン変換酵素 / 腎細胞増殖 / カプトプリル / 腎線維芽細胞 / メサンギウム細胞 / 尿細管上皮細胞 / 腎疾患 / 進行性腎不全モデル / 細胞増殖抑制作用 / 抗腎不全効果 / アンジオテンシン変換酵素阻害薬 / 遺伝子多型 / 特発性ネフローゼ症候群 / IgA腎症 / 紫斑病性腎炎 / 細胞増殖 |
研究概要 |
Nーacetyl-seryl-aspartyl-lysyl-proline(AcSDKP)はアンジオテンシン変換酵素(ACE)のN末側活性部位により不活化される造血幹細胞の分化増殖抑制因子である。AcSDKPの前駆体、thymocin β4は腎を含む各組織に分布することにより、AcSDKPは腎細胞増殖の制御因子であるとともにアンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)の作用機転であることが予想される。本研究では、AcSDKPの腎細胞増殖抑制作用と、ACEIがAcSDKPの分解を阻害する効果について、ACEのN末側活性部位を主として阻害するカプトプリル、NおよびC末側活性部位を非特異的に阻害するリシノプリルを比較した。 5%胎児ウシ血清添加培養液中で増殖期のラット腎線維芽細胞、メサンギウム細胞、尿細管上皮細胞にAcSDKPを48時間作用させた後、Alamer blue法により細胞数を測定した。AcSDKP(10^<-10>〜10^<-5>M)を作用させた細胞は濃度依存性に細胞増殖を抑制した。FACScanによる細胞周期の検討では、AcSDKPを作用させた細胞はコントロール細胞と比較して有意にGO期の延長を認めた。カプトプリル又はリシノプリルと共にAcSDKP(10^<-7>M)を細胞作用させたところ、カプトプリルのみがAcSDKPの増殖抑制作用を増強した。一方、カプトプリルおよびリシノプリル単独(10^<-5>〜10^<-6>M)では細胞増殖抑制効果を認めなかった。RT-PCR法で解析したthymocin β4及びACEmRNA発現量は、上記実験条件下では有意の変動を認めなかった。 1.AcSDKPは腎細胞の増殖抑制作用を有する。2.ACE分子のN末側活性部位に対する阻害作用が強いカプトプリルは、その部位で特異的に分解されるAcSDKPの作用を増強した。これらの知見は、AcSDKPが細胞増殖を伴う腎疾患の抑制因子として機能すること、AcSDKP分解抑制がACEIの腎疾患における新たな作用機転であることを示唆する。
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