研究概要 |
低分子量G蛋白質RhoAの新生仔ラット心筋初代培養系における心筋肥大に対する役割については良く知られているが、胎生期の心筋発達でのRhoの機能は不明である。(1)RhoA・RhoBのマウス胎仔心筋における発現を検索した。(2)胎生13日目初代培養心筋細胞を用いて、活性型Rho(HA-tagged V^<14> Rh6A, RhoB),ドミナント・ネガティブRho(HA-tagged N^<17> RhoA, RhoB),GFP-tagged C3のトランスフェクションを行い、1-2日後に固定してF-actin, sarcomeric alpha-actininの局在によりmyofibrilの変化を調べた。RhoAは胎生8-17日すべてに発現したが、RhoBは胎生15日前後で発現が減弱・消失した。RhoA・RhoBのいずれも心筋ザルコメアへの局在を認めた。また活性型RhoA・RhoBのトランスフェクションにより、心筋の基底側にpremyofibrilの強い誘導が認められ、一方GFP-tagged C3のトランスフェクションにより心筋細胞の基質への接着低下、myofibrilの束状ネットワークの減弱を認めた。dominant negative RhoはC3と同様の作用を誘導したが、その程度はより不完全であった。RhoA・RhoBは胎生期マウス心筋において時期特異的に発現し、premyofibil形成・myofibril維持に対し協調的に促進することが示唆された。
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