研究課題/領域番号 |
10671061
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
代謝学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
葛谷 雅文 名古屋大学, 医学部, 講師 (10283441)
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研究分担者 |
小池 晃彦 名古屋大学, 医学部, 医員
井口 昭久 名古屋大学, 医学部, 教授 (20109763)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2000年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1999年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1998年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 動脈硬化 / 血管内皮細胞 / VEGF / 酸化低比重リポ蛋白 / マクロファージ / VEGF受容体 / グルタチオン / 血管新生 / 変性低比重リポ蛋白 |
研究概要 |
ヒト動脈硬化病変におけるvascular endothelial growth factor(VEGF)の存在ならびに局在を検討し、粥状硬化初期病変に内膜泡沫細胞の存在部位、進行病変のマクロファージ由来泡沫細胞に富むlipid core病変、さらにcore直下の平滑筋細胞に富む部位に多量にVEGFの蓄積を認めた。VEGFは血管平滑筋細胞のみならず、マクロファージ由来泡沫細胞由来と想定された。酸化的変性低比重リポ蛋白(Ox-LDL)がマクロファージのVEGF発現に影響を与えるか否かを検討したところ、Ox-LDLによりマクロファージVEGFの発現の増加を認めた。VEGFの粥状動脈硬化病変における局在より、VEGFは病変部の血管新生に関与するのみならず、内腔側内皮に何らかの影響を与えていることが示唆された。VEGFのOx-LDLによる内皮細胞障害に与える影響を検討したところ、VEGFはその障害を著しく防御した。そのVEGFの内皮細胞障害抑制効果は一酸化窒素依存性、細胞内グルタチオン依存性による2種類の機構によることが明らかとなった。VEGFの2種類の受容体(Flt-1,KDR/Flk-1)に対する特異的中和抗体を使用することにより、これらのVEGFの効果はKDR/Flk-1を介していることを明らかにした。 以上より、VEGFはヒト粥状動脈硬化病変に存在し、その局在よりVEGFはOx-LDLにより誘導されたマクロファージ由来、さらに血管平滑筋細胞由来である可能性が高い。VEGFは病変内の血管新生に関与しているのみならず、内皮細胞に対し、KDR/Flk-1受容体を介して一酸化窒素の産生を促し、さらに細胞内クルタチオンを増加させ、Ox-LDLを始めとする種々の酸化ストレスに対し防御的に作用している可能性が示唆された。
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