研究分担者 |
宮崎 修吉 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (50282075)
黒川 良望 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (80215087)
大河内 信弘 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (40213673)
安藤 健二郎 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (40261614)
桜田 正寿 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (40292320)
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研究概要 |
慢性動脈閉塞症において虚血肢へのニトログリセリン(NTG)経皮的直接投与の意義を明らかにするために,以下の検討を行った.対象・方法:1)15例にNTGテープ剤5mgを下腿に投与し,経皮O2・CO2分圧を同側下腿,または足背で測定した.2)9例に対し一側足部にNTG軟膏12mgを投与し,レーザードップラー血流計を用い両側足背で皮膚血流と温度を測定した.3)分圧測定と同時に,投与後30分,120分の投与側大腿静脈血,上肢静脈血のNTG濃度を測定した.4)皮膚血流測定と同時に,投与後120分の投与側大腿静脈血,上肢静脈血のNTG濃度を測定した.5)25例にNTGテープ5mgを下腿に投与し,トレッドミル歩行負荷を行い近赤外分光法によりoxyHbの変化を測定した.結果:1)O2分圧は投与前24.3±19.6mmHgから後41.1士22.0mmHgと上昇し(p<0.0001),CO2分圧は,50.1±8.54mmHgから44.5±5.53mmHgと低下した(p<0.001).2)投与側で皮膚血流は前100.87±66.03BPUから後196.48±115.87BPU(p<0.01),皮膚温は30.54士1.87℃から34.97±1.49℃(p<0.001)に上昇した.対側で皮膚温度31.95±0.98℃から34.18±1.23℃(p<0.05)と上昇を認めたが,血流は前79.24±50.74BPU,後89.71土44.78BPUで有意な変化は見られなかった。3)大腿静脈血NTG濃度は,30分1.69±1.67ng/ml,120分9.99±7.06ng/mlであったが,上肢静脈血では全て測定感度未満であった.4)大腿静脈血23.55±27.46ng/ml,上肢静脈血0.399±0.224ng/mlで,両者に有意差を認めた(P<0.05).5)回復時間は前4.26±2.60分,測定側投与3.65±2.06分,対側投与3.84±2.20分で,投与前に比べ測定側,対側投与で短縮を認めた(P<0.05).測定側投与と対傾投与の回復時問の間には,有意差は認められなかった.結論:NTGの経皮的投与は,1)慢性動脈閉塞症に対する有効な治療法である.2)虚血肢への直接投与がより有効である.
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