研究概要 |
OK-432を用いた胃癌免疫療法における適応症例の選択および治療効果の指標として,末梢血リンパ球のTh1/Th2バランスを検討しその有用性を評価した。胃癌治癒切除症例を56例(OK-432投与群38例、非投与群18例)を対象とし,OK-432は2週に1度3KEを皮内投与した。NK活性は^<51>Cr release assay で測定した。Th1サイトカイン(IFN-γ,IL-2)およびTh2サイトカイン(IL-4,IL-10)の産生能はELISA法で測定し,産生細胞の割合はFACSを用いて測定した。およびOK-432投与群は非投与群に比較し,IFN-γおよびIL-2の産生が上昇し,一方IL-4とIL-10は両者で有意差を認めなかった。OK-432投与によりTh1/Th2バランスはTh1優位となった。OK432投与後のNK活性の値からhigh-response症例とlow-response症例に分け,Th1/Th2バランスおよび予後を比較検討した。high-response群はlow-response群に比較しIFN-γおよびIL-2の産生が有意に上昇した。一方IL-4はhigh-response群で低下する傾向を示し,IL-10は両者で差を認めなかった。high-response群のTh1-Th2バランスはlow-response群に比べ,Th1優位であることがことが判明した。両群の累積生存率をKaplan-Meiyer法で検討したところ,high-response群の生存率はlow-response群に比較して有意に上昇した。Cox比例ハザードモデルによる解析から,OK-432に対するresponseは独立した予後因子となることが判明した。 胃癌治癒切除症例におけるOK-432を用いた免疫療法における適応症例の選択および治癒効果判定の指標として,末梢血Th1/Th2バランスの測定が有用である可能性が示唆された。
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