研究概要 |
本実験モデルのBOP誘発によるhamster胆道癌はヒト胆道癌と極めて類似した特徴を有しており、対照群に比し、高率に胆道癌を発生した。抑制機構の解析では(1)癌の抗酵素療法剤として注目されているFOY-305投与群では胆汁中の膵酵素(trypsin,PLA2)の不活性化が認められた。(2)IS-741投与群ではアラキドン酸代謝のkey enzymeとして深く係わっている胆道組織中のPLA2を不活性化することにより、free radical reactionを制御するとともに、myeloperoxidase活性を抑制して、Prostaglandins(PGE2,PGF2α,6KF)の産生を有意に抑制した。また(3)CR-1505投与群ではCCK-receptorの役割を制御することにより、胆嚢や胆管あるいは肝組織に対するCCKの細胞増殖効果を抑制した。この結果、対照群に比し、いずれの抑制実験群においても、胆道癌の発生が有意に低下した。すなわち、本研究における胆道発癌にpromoter作用として働く活性化膵酵素を不活性化するprotease inhibitorやジアミノピリジン系化合物あるいはCCK-receptor拮抗剤は胆道発癌を極めて効果的に制御するものと想定され、今後、新しい制癌剤としての臨床応用の可能性が期待されるものと考えられた
|