研究概要 |
目的:ヒト不死化肝細胞使用したバイオリアクターの作製とその有用性を評価する。 研究成果: (1)バイオリアクターの作製 ラジアルフロー型バイオリアクターを作製し,樹立ヒト肝癌細胞株を用いてアルブミン産生と,アンモニア代謝能を有することを証明した。 (2)不死化肝細胞の作製 他施設よりヒト不死化肝細胞を譲渡される予定であったが,諸事情により不可能となったため,やむなくヒト不死化肝細胞の作製を行った。予備実験として,ラットの肝細胞を用い,細胞のreversible immortalizationを試みた。SSR#69ウイルス(レトロウイルス)によってSV-40,loxPを導入した。次に不死化させるためloxP配列を切断するウイルスを使用し,不死化に成功した。次に,転移性肝癌症例においてヒト肝細胞の分離,培養を行い,ラットの肝細胞と同様にreversible immortalizationを試みたが導入細胞がきわめて少なく,AxCACreウイルス投与にても不死かは成功していない。 (3)ブタ急性虚血性肝不全モデルの作製 体重20kg雑種ブタに対し冠動脈,門脈決紮および-下大静脈吻合を行いブタ急性肝不全モデルを作製した。 今後の計画: 不死化細胞の作製については,成人ヒト肝細胞に対し,良好な遺伝子導入がえられないことの原因として臓器摘出からコラゲナーゼ処理までの虚血障害が考えられるため,今後臓器摘出後の手技,方法を検討する必要があると考える。またヒト不死化肝細胞作製後はラジアルフロー型バイオリアクターを用いて,アルブミン,凝固因子の合成能,グルクロン酸抱合能,アンモニア代謝能,各種負荷テストを行い,in vitroで人工肝臓としての機能評価を行うとともに,ブタ急性肝不全モデルを用いたin vivoでの機能評価を行っていく予定である。
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