研究課題/領域番号 |
10671223
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
逸見 仁道 東邦大学, 医学部, 助教授 (90165514)
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研究分担者 |
清水 教一 東邦大学, 医学部, 講師 (60256740)
辻田 和紀 東邦大学, 医学部, 助教授 (60130374)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2000年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1999年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1998年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | ミスマッチ修復遺伝子 / hMLH1遺伝子 / 大腸癌 / 転写調節領域 / reporter gene assay / 転写因子 / gel shift assay / in vivo footprinting / 発現抑制 / microsatellite instability / CpG island / hypermethylation |
研究概要 |
hMSH2およびhMLH1遺伝子は1993年から1994年にかけて遺伝性非腺腫性大腸癌(HNPCC)の原因遺伝子として同定され、その後、消化器癌や卵巣癌など多くの癌の発生や進展に関与していることが分かった。本研究ではhMLH1遺伝子の転写制御機構の解明を主たる目的として、転写発現重要領域の特定と特定化された重要領域に関与する転写因子の同定を計画した。本研究期間内に明らかとなった研究成果を以下にまとめる。 I.発現調節領域の特定化 hMLH1遺伝子発現に必須な領域を知るために、転写開始点から上流-853〜+101を選び、長さの異なる領域を含むreporter gene plasmidを構築し、ヒト大腸癌由来細胞株SW620で活性を測定したところ、hMLH1遺伝子発現に必須な領域が-301から-76の間に存在することが明らかになった。 II.調節領域結合蛋白の解析 invivo footprinting解析およびコンセンサス配列解析結果より、-301から-76の間の領域に7箇所の蛋白結合領域が見出された。そこで、これらの蛋白結合領域が転写活性に関わっているかを知るために、変異reporter plasmidを構築し、reporter geneの活性を測定した。その結果、いずれの変異plasmidも活性を下げたが、FP2,FP3およびCCAAT-boxが変異した場合が、比較的活性の低下が顕著であった。以上の結果から、hMLH1転写制御に関わる領域は少なくとも複数箇所存在することが明らかとなった。 III.散発性大腸癌における転写調節領域の異常の検索 hMLH1遺伝子発現抑制例を中心にMSI腫瘍の本調節領域の変異を検索したところ、-72および-86にA->GおよびC->Gの1塩基変異を見出した。-72A/G変異はMSI大腸癌のみならず、他の大腸癌患者や健常人でもほぼ同じ比率で認められた。また、reporter gene assayを用いた解析から、本塩基変異は転写活性を約20%増強した。一方、86C/G変異は患者群で90人中2例に認められ、健常人62人中には見出せなかった。また、転写活性を約30%減弱させた。更に、-86C/G変異はCpG配列を崩すこと並びにbasic promoter領域中にあることから、hMLH1遺伝子の発現量減弱を介した発癌や癌の進展に関与していることが疑われた。 今後、複数の転写因子の同定を含めたhMLH1遺伝子発現調節機構の更なる解析および大腸癌症例における転写因子の異常の検索を中心に研究を更に発展させる必要がある。
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