研究課題/領域番号 |
10671248
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
胸部外科学
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
白石 昭一郎 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (30283568)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1999年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1998年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 超低体温 / 循環停止法 / 遅延型神経細胞死 / 遅発性神経細胞死 |
研究概要 |
脳細胞神経は虚血・再潅流障害に対して極めて脆弱で、中でも海馬CA1領域の錐体細胞は一過性の虚血後、エネルギー状態は回復するにも関わらず、数日後に細胞死に陥ることが知られている。この現象は遅発性神経細胞死(DND)とよばれ、そのメカニズムは十分には明らかにされていない。 方法:生後2日から10週の雌雄スナネズミの両側総頚動脈閉鎖による一過性前脳虚血モデルを用いた。10分間の一過性前脳虚血を負荷した。生後14日(B-1群)及び生後30日(B-2群)に同様の一過性の前脳虚血を負荷し、潅流固定を行なった。A,B群とも、海馬CA1領域の神経細胞の障害を評価するためにクレシルバイオレット(CV)染色を行ない、残存正常神経細胞数をカウントした。B群では、海馬領域の星状膠細胞をGFAP免疫染色、稀突起膠細胞を抗CNAase抗体、小膠細胞を抗Mac-1抗体を用いた免疫染色にて観察した。 結果 A群:一過性前脳虚血処置を生後第3周目までに行なったものではCA1領域の錐体細胞が脱落しがたいのに対し、生後4周以降では脱落が著明であった。B群 B-1群の錐体細胞数には一過性虚血後に変化は見られなかった。一方、B-2群は、虚血処置後3日後にはCA1領域の内側半が著しく減少し、7日目には全領域において減少した。星状膠細胞B-1群の第1日目において、肥大を示した。第3日目において多形細胞層は分子層で反応性のものが増加した。第7日目において多形細胞層と分子層の両層で免疫陽性度が低下した。B-2群の第1日目に免疫陽性細胞は、核が大きく、突起も太く、長くなっていた。 本研究によりスナネズミ脳においても、生後第3週までは一過性脳虚血によるDNDが起こりにくいことが明らかになった。最も興味ある反応を示したのは星状膠細胞であった。生後4週を過ぎると一過性虚血に対する海馬CA1錐体細胞のDNDは内側半から起こり、外側へ移行しCA1全域に至ることが明らかになった。星状膠細胞の反応もまさにこれに応じて起こった。ところがDNDを起こさなかった生後3週までの群では星状膠細胞の活性化反応をみとめず、星状膠細胞が細胞死により強く関与していると考えられた。
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