研究課題/領域番号 |
10671265
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
胸部外科学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
山下 純一 熊本大学, 医学部・外科学・第二講座, 講師 (20279285)
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研究分担者 |
小川 道雄 熊本大学, 医学部・外科学・第二講座, 教授 (30028691)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
400千円 (直接経費: 400千円)
1999年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
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キーワード | 非小細胞肺癌 / 小細胞肺癌 / 細気管支肺胞型腺癌 / 肝細胞増殖因子 / 転移 / 血小板由来血管内皮細胞増殖因子 / 血管新生 / 細気管支肺胞型腺型 / びまん型 |
研究概要 |
手術により切除された肺癌組織を用い、各種増殖因子の発現とその生物学的意義についての検討を行った。非小細胞肺癌における肝細胞増殖因子(HGF)の発現を、新しく開発されたenzyme-immunoassayにて測定するとともに、免疫組織染色にて解析した。腺癌の亜型である細気管支肺胞型腺癌(BAC)のdiffuse-typeのHGF濃度は265.0±110.2(ng/100mg protein)であり、これはsolitary-type BAC(13.9±15.9)、通常型腺癌(13.8±14.9)、扁平上皮癌(13.2±14.4)、大細胞癌(11.2±6.5)に比し、有意に高濃度であった。また、免疫組織染色においても、diffuse-type BACは癌細胞にHGFの強発現を認めた。diffuse-type BACは予後不良であることが知られているが、HGFの発現がその一因をなしていると推測された。次に肺癌組織の血小板由来血管内皮細胞増殖因子(PD-ECGF/thymidine phosphorylase)濃度を測定した。非小細胞肺癌のPD-ECGF濃度は、腺癌組織73例が30.7±22.9(U/mg protein)、扁平上皮癌組織49例が32.0±19.8であり、両群間に有意差はみられなかった。一方、小細胞肺癌組織17例のPD-ECGF濃度は3.65±2.01であり、非小細胞肺癌に比し有意かつ著明に低濃度であることが判明した。癌組織における血管新生は癌の浸潤・転移に極めて重要な役割を果たしていると考えられる。今回の結果から、小細胞肺癌と非小細胞肺癌は異なる血管新生のメカニズムを有していることが推測された。また、近年血管新生因子のインヒビターを用いた癌治療が試みられているが、PD-ECGFに対するインヒビターは小細胞肺癌に対しては有効性を期待できないことが示唆された。
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