研究課題/領域番号 |
10671292
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
山本 清二 浜松医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (60144094)
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研究分担者 |
坪井 貴司 浜松医科大学, 光量子医学研究センター, 学振研究員
櫻井 孝司 浜松医科大学, 光量子医学研究センター, 助手 (50283362)
寺川 進 浜松医科大学, 光量子医学研究センター, 教授 (50014246)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1999年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1998年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | glutamate / mitochondria / neurotoxicity / DNA fragmentation / hippocampus / rat / DNAfragmentation / EXCITOTOXICITY / 神経細胞死 / グルタミン酸 / ミトコンドリア / ビデオ強化型顕微鏡 / 化学発光 |
研究概要 |
今回の研究で判ったことは以下である。 1.培養海馬スライスでの細胞内カルシウムの指示薬(Fra2/AM)によるカルシウムイメージングではグルタミン酸(glu)1mMにより細胞内カルシウム濃度が上昇し持続する。 2.培養海馬スライスに、ミトコンドリア(Mit)の膜電位の指示薬としてrhodamine123を負荷し、glu 1 mMを投与した場合の蛍光強度の変化を共焦点レーザー顕微鏡で観察すると、20分以内に膜電位が障害されていた。 3.Mit呼吸鎖の抑制剤としてrotenone、nitropropionic acid、KCN、FCCP を用いビデオ強化型微分干渉顕微鏡で観察すると、KCN以外は容量依存的に核内顆粒の出現をみた。KCNや非毒性(低容量)の呼吸鎖抑制剤でもMit膜電位は変化していた。 4.同一細胞でgluとMit呼吸鎖抑制剤を投与しカルシウム濃度と形態の変化を観察した。いずれも核内のカルシウム濃度の急激な上昇に引き続いて核内顆粒が出現し、逆の場合は形態変化を見なかった。Mit呼吸鎖抑制剤では、細胞外液中のカルシウム濃度は核内カルシウムの上昇と核内顆粒出現のプロセスには影響しなかった。これに対しgluでは、NMDAレセプター拮抗剤(MK-801)の投与と細胞外液中のカルシウム濃度は、核内カルシウムの上昇と核内顆粒出現を有意に遅延させた。 以上よりグルタミン酸とミトコンドリア呼吸阻害剤により培養海馬神経細胞の細胞内カルシウム濃度の上昇に加えて核内のカルシウム濃度が急激に上昇することにより核DNA断片化に相当する顆粒の出現を見た。カルシウム濃度の上昇に関与するカルシウムは、グルタミン酸の場合は細胞内外から動員されるが、ミトコンドリア呼吸阻害剤では細胞内器官から動員される。グルタミン酸によりミトコンドリア呼吸鎖が阻害され、これによりさらに神経毒性が増強され核内のカルシウム濃度が急激に上昇し急性神経細胞死にいたる過程が想定される。核内のカルシウム濃度が上昇するメカニズムとその後のDNA断片化にいたる過程を解明することが次のステップであろう。
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