研究概要 |
エストロゲン,甲状腺ホルモン,活性型ビタミンD,レチノイドなどは標的細胞の核内に存在する特異的レセプターによって受容され,特異的遺伝子の転写効率を制御している。ヒト下垂体腺腫細胞において1)特異的ホルモンの転写活性に核内レセプターがどのように関与しているのか 2)核内レセプターとその他の修飾因子の相互作用を明らかにすることを目的として本研究を行った。Estrogen Receptor(ER), Retinoid X Receptor (RXR), Thyroxin Receptor (TR)についてプローブを合成し、Northern blottingおよびPolymerase chain reaction(PCR)法を用いて正常下垂体および腺腫細胞におけるmRNAの局在を証明した。細胞内で微量遺伝子を増幅し(in situ PCR法)個々の細胞レベルの発現を証明した。酵素抗体法による蛋白の検出を組み合わせることにより、ERは下垂体細胞の中でもプロラクチン産生細胞、RXR,TRはTSH,GH細胞に特異的に発現し、これらの腫瘍細胞の機能分化・増殖に関与していることが明かとなった。さらに下垂体特異的転写活性因子Pit-1,Ptx-1,Prop-1と同一細胞に発現することがわかり、これらの協調作用を示唆する結果を得た。
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