研究概要 |
Plasminogen activatorは脳内で恒常的に発現し,脳損傷後の組織修復,血管新生を担う重要な役割を持つことを明らかにした(神経外傷21:63,1998).しかし,一方ではマクロファージ由来のプロテアーゼが動脈瘤破裂に関与しうることを明らかにした(Stroke 30:1396,1999).さらに我々は外傷性線条体損傷にても黒質ではtransneuronal degenerationを生じていることを明らかにした(Acta Neurochir(Wien)141:669,1999).このtransneuronal degenerationには理論的にはtPAのプロテアーゼが関与することが強く示唆されているが,我々はtPAを遺伝的に欠損させたknock-out miceを用いて線条体損傷後の黒質におけるtransneuronal degenerationにはtPAは関与していないことを明らかにした(Neurosci Lett 266:220,1999).このようにプロテアーゼは脳内で重要な役割を担うと同時に脳損傷時には脳内病態を悪化させる可能性があることを認識するにいたった.uPA, uPA receptorおよびuPA inhibitorであるPAI-1をそれぞれ遺伝的に欠損させたknock-out miceを用いた実験にて外傷性脳浮腫の発生にはreceptorに結合しないuPAが関与することを明らかにした.また急性期をすぎるとmicrogliaがuPA receptorを発現しreceptor binding uPAが脳損傷後の血管新生に関与することが明らかになった(Neuroreport submitted for publication).
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