研究概要 |
自己免疫疾患の発症メカニズムは,いまだ不明の点が多い。しかし,自己反応性クローン抑制機構における担当細胞がapoptosisから逃れる要因に可溶性Fas(sFas)が関与している可能性が示唆されている。すなわち,過剰のsFasがFas ligandと結合し,膜型Fasとの結合を阻害していることが考えられる。申請者等は,既に報告している測定系を用いて,RA患者血中のsFas測定を行い,以下の結果を得た。 対象はRAと診断された46例であり,年令は40〜60才,病期別ではstageI6例,II4例,III21例,IV15例であった。治療薬剤はすべての症例に抗リウマチ薬のBucillamineが投与されていた。検討項目は,RF,CRPはラテックス凝集比濁法(LPIA)で,IL-6,IL-8,sIL-2RはELISA法で,sFasは既報の方法(Seishima,et al.Clin.Chem.42:1911〜1941,1996)により測定した。 sFasと検討項目との相関は,RF(r=0.149),CRP(r=0.103),IL-6(r=0.219),IL-8(r=0.053),sIL-2R(r=0.567)であった。今回の検討ではsIL-2R(CD_<25>)とのみに相関が認められたが,我々は既にRA患者においてT細胞亜分画の活性化とsIL-2Rとの関係について報告しており(竹村正男 他 臨床病理44:564〜568,1996),炎症に関わる浸潤細胞の活性化とsFasとの間に何らかの関連性が存在するものと考えられ,今後更に検討を進めていきたい。
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