研究概要 |
我々は変形性関節症や慢性関節リウマチなどの関節疾患が女性に多いことから,その病態における性ホルモンの関与に注目した.そして性ホルモン受容体遺伝子など性ホルモンに関連する遺伝子の多型が疾患の発症や重症度に関与しているのではないかという仮説を立て,変形性関節症や慢性関節リウマチ患者の遺伝子解析を行い,以下の結果を得た. 変形性関節症のサブタイプである全身性骨関節症について,エストロジェン受容体遺伝子多型が遺伝子マーカーとなることを報告した(J Rheumatol,1998).同時に解析したビタミンD受容体遺伝子多型は変形性関節症とは関連しなかった(Rheumatology,2000). 慢性関節リウマチ患者では女性で発症年齢とエストロジェン受容体遺伝子多型との間に関連があること(Ann Rheum Dis,1999),男性患者ではアンドロジェン受容体の遺伝子多型(CAG反復)が関連していること(Ann Rheum Dis,2000)を見い出した.また男性強直性脊椎炎患者でもアンドロジェン受容体遺伝子多型(CAG反復)が関与していた(Rheumatology,2000).さらに性ホルモンの合成酵素であるCYP17の遺伝子多型も女性慢性関節リウマチ患者の発症と関連していた(Clin Exp Rheumatol,1999). 一方,ヒト関節軟骨細胞にエストロジェン受容体αおよびβの遺伝子が発現しており,これらの発現に性差があることを報告した(Osteoarthritis Cart 1999).
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