研究概要 |
目的 : 慢性関節リウマチモデルとされるラットのアジュバント関節炎において、全身性の骨量減少が生じる。アジュバント関節炎はアジュバント注射後2週間が急性期で、その後慢性期に移行するといわれる。この骨量の減少には、炎症性cytokineやProstagrandinsが関与していると考えられる。本研究では、アジュバント関節炎の骨組織内における炎症性cytokineや骨代謝関連遺伝子(IL-1b,TNF-a,IL-6,COX-2,osteocalcin,osteopontin,PTHR,TRAP,osteoclast differencial factor)を検討し、骨量減少の機序を解明する。 現在までの経過 : 6週齢SDラットにアジュバント関節炎群と正常対照群を作成し、0,7,14,21日に両大腿骨を摘出し、大腿骨より骨端部を除去total RNAを抽出した。このRNAを用いてnorthern blot analysis,RT-PCRを行ってmRNAの定量化をおこなっている。さらに、摘出した大腿骨より組織標本を作成した。この標本を用いてin situ hybridization method施行し、osteopontinの局在を検討した。 結果 : northern blot analysisやRT-PCR methodでosteponitin, bone AL-p, TRAP, TRAPのmRNAの経時的変化を定量的に検討した。アジュバント関節炎群では、正常対照群と比較すると、osteocalicin, osteopontin, bone AL-p, TRAPのmRNAは7,14,21日で低下していた。これらのことは、osteoblast系に関しては、細胞機能が低下していると考えている。炎症性cytokineについては、northern blot analysisでこれらを定量化するにはmRNAの発現量が少ないため評価できず、RT-PCR methodを用いて検討した。IL-1bはアジュバント関節炎作成7日目より正常対照群に比べ上昇し、IL-6,TNF-a,COX-2は14日目に正常対照群に比べ上昇していた。ODFは14日目に上昇していた。これらのことから炎症性サイトカインやprostagrandinsはosteoblast系の細胞機能の低下やODFの上昇に関与していると考えられ、また、14日以降の骨吸収にも影響していると考えている。
|