研究課題/領域番号 |
10671382
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
整形外科学
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
千葉 一裕 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80179952)
|
研究分担者 |
今林 英明 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40296629)
辻 崇 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60296639)
|
研究期間 (年度) |
1998 – 2000
|
研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
|
配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2000年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1999年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1998年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
|
キーワード | 椎間板 / 髄核 / 線維輪 / 細胞培養 / 細胞外基質(マトリックス) / プロテオグリカン / コラーゲン / サイトカイン / 線維論 / マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP) / 骨形成因子(BMP) |
研究概要 |
本研究ではまず、多糖重合体アルジネートを用いた3次元懸架細胞培養法を本学内で確立し、培養椎間板細胞の基質代謝の詳細な解析をすることに主眼をおいた。その結果、家兎椎間板より分離した、髄核ならびに線維輪細胞はアルジネートゲル内で、3次元形態とその形質発現をよく保ち、活発に椎間板固有の基質を合成することが判明した。また、髄核、線維輪細胞ともに細胞に近接した細胞周囲基質ならびに細胞より離れた位置に存する領域間基質の2つの異なる細胞外基質分画を形成し、種々の基質分子を異なった比率でこれら分画に集積するが確認された。特に線維輪細胞は髄核細胞よりDNAあたりより高濃度の基質を細胞周囲に集積した。引き続くアイソトープ実験では、プロテオグリカン、コラーゲン共に髄核細胞に比し線維輪細胞で合成が盛んであり、プロテオグリカンは主に細胞周囲に、逆にコラーゲンは主に領域間分画に集積する事が示された。髄核と線維輸細胞では合成直後の新生プロテオグリカンの基質分画間の移動速度が著しく異なり、前者では細胞周囲から領域間分画へ急速に移動したが、後者では細胞周囲に比較的長く保持された。一方でプロテオグリカンの半減期はいずれの細胞でも細胞周囲で短かく(12-14日)、細胞間領域では著しく長かった(80日以上)。さらにIL-1はプロテオグリカンの分解を早め、基質代謝回転を負に傾け、また逆にBMP-7は椎間板細胞による基質合成能を高め、基質代謝回転率を正に傾けることが判明した。これら生理活性物質の影響は細胞膜に近接して存在する細胞周囲基質においてより顕著であった。本実験の結果より、髄核細胞が細胞周囲基質の形成が乏しいことや、細胞より離れた基質を細胞が修復できないことさらにはIL-1などのカタボリックサイトカインが椎間板の加齢現象ひいては変性に関連している可能性が示唆された。本研究から得られた知見は椎間板変性の原因究明と新しい治療の開発に有益なものと考える。
|