研究概要 |
1.【方法】(1).切片の作成 生後6〜14週の遺伝性胸椎前弯・前側弯兎(LSR)の脊椎を摘出しパラホルムアルデヒド固定し,ギ酸にて脱灰後にパラフィン包埋した. これを6μmの厚さで薄切り染色を行った. (2).RNAプローブの作成.日本白色家兎出生約1週前の胎児の骨組織よりmRNA を抽出し,RT-PCRを行いcDNAを作成した.これよりI型コラーゲン,BMP-2,osteopontin (Osp)の各々のプライマーを用いてPCRを行いクローニングし,ジゴキシゲニンでラベリングしたセンス,アンチセンスプローブを作成し染色に用いた. 2.【結果】(1).I型コラーゲン,BMP-2は前弯変形の認められた椎体前方内骨膜部骨芽細胞と後方の外骨膜部骨芽細胞に強いシグナルが認められた.変形を認めない部位ではそのような傾向は認められなかった. (2).Ospは前弯変形の認められた椎体後方の内骨膜部Howship窩の破骨細胞とその周りの骨細胞にシグナルが認められた.椎体前方の内骨膜部にはそのような所見はなく,変形の認められない椎体ではこのような前後での差異は認められなかった. 3.【考察】I型コラーゲン,BMP-2のシグナルが前弯変形を呈する椎体前方内骨膜部骨芽細胞と後方の外骨膜部骨芽細胞に認められたことより,この部位では骨形成が旺盛であると考えられる.逆に同椎体後方の内骨膜部では,Howship窩の破骨細胞とその周りの骨細胞にシグナルが認められたことより、骨吸収が起こっていると考えられる.これは前方と後方の靭帯や筋肉などの軟部組織のアンバランスによる変形に対してのリモデリングが起こっていると考えられる.ヒトにおける特発性側弯症でも最初に前弯もしくは後弯変形が起こり,二足歩行であるがゆえに側弯へ進展していくのではないかと考える.また最近の知見として側弯症とメラトニンとの関連が報告されており今後LSRでもその関連性の検討を既に開始している.
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