研究概要 |
術前に,(1)交感神経性皮膚血管運動反射(以下SVmR)を誘発し振幅を計測,(2)圧反射感受性(BRS)と収縮期血圧変動の低周波数成分(SBP-LFC)・心拍変動の高周波数成分(RR-HFC)の周波数解析で自律神経機能を評価した。麻酔導入直前から手術開始までの麻酔そのものによる循環変動,ならびに手術中の循環変動を収縮期血圧変化量,心拍数変化量で計測した。また,術中に誘発SVmRを計測した。その結果,以下のことが明らかとなった。 (1)刺激強度が一定であれば麻酔深度とSVmR振幅は反比例する。 (2)麻酔深度が一定であれば刺激強度とSVmR振幅は正比例する。 (3)糖尿病,高血圧などの合併症を持つ患者でもSVmR振幅を含めた術前の自律神経機能検査で正常値を示す患者もいる。 (4)糖尿病,高血圧,虚血性心疾患,自律神経障害などの合併症に関わらず,術前の誘発SVmR振幅が正常の患者では術中血圧変動が少なく,振幅が小さい患者では術中血圧変動が大きい。 (5)術前誘発SVmR振幅と術中徐脈には相関がないが,頻脈には緩い相関がある。 (6)術前BRSと術中心拍数変動幅には緩い相関があるが,RR-HFCは術中心拍数変動幅には相関が弱い。 (7)術前SBP-LFCと術中血圧変動幅には緩い相関がある。
|