研究概要 |
【研究目的】In vitroの系でプロポフォールの肝、腎に対する直接作用と、低酸素および再酸素化時の肝、腎に及ぼす影響について検討を行った。 【研究方法】ラットの肝、腎スライスを作製し前培養を行った後、肝は培養液を酸素化した群(O_2群)とN_2で置換した低酸素群に分け、更に両群に培養液中のプロポフォール濃度が0μg/ml(P-0)、1μg/ml(P-1)、4〜5μg/ml(P-5)の群を作り2時間培養を行った。次にO_2群、低酸素群とも再酸素化し2時間培養をした。2時間培養時と、再酸素化1時間後と2時間後に肝細胞内K^+濃度、培養液中逸脱酵素とαGST活性を測定した。腎は前培養後、O_2群と低酸素群に分け、両群に培養液中のP-0群、P-5群を作り30分培養を行った。次にO_2群、低酸素群ともに再酸素化し2.5時間培養をした。30分培養時と、再酸素化30分後、2.5時間後に腎細胞内K^+濃度と培養液中のNAG,γGTP,αGST活性を測定した。 【結果】1.肝、腎ともに酸素下ではいずれの濃度のプロポフォールでも培養中の細胞内K^+濃度は保持され、また培養液中への酵素遊離の上昇もなかった。2.低酸素-再酸素化では、肝においてプロポフォールの濃度依存性の細胞内K^+濃度の低下と、培養液中への酵素遊離の上昇がみられた。腎においてもプロポフォール群で細胞内K^+濃度の低下と、培養液中への酵素遊離の上昇がみられた。 【結論】プロポフォールの臨床使用濃度では酸素のある状態では肝、腎に対する細胞障害性はないことが示唆されたが、低酸素-再酸素化時には逆に肝、腎に対し障害的に作用することが示唆された。
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