研究概要 |
1. 高圧排尿モデルの作製と膀胱低コンブライアンス化の定性・定量について ラット尿道の不完全閉塞については,従来より報告されているように,カテーテルを挿入し,尿道周囲で結紮後カテーテルを抜去して作製したもの(機械的閉塞群)のほか,Panditaらの報告したDHT(dehydrotestosterone)の投与による前立腺肥大症モデル(肥大症モデル群)も検討した。閉塞作成後の膀胱コンブライアンス測定,並びに膀胱壁の硬さ測定では,機械的閉塞群では,閉塞作製1週後の早期より膀胱容量の低下,利尿筋の過活動性が観察され,また明らかに膀胱壁の硬さが増していること,組織学的にも筋肥大とともに,繊維性成分の増加していることが確認された.これらの変化は6週間を過ぎる頃より固定化し,低コンブライアンス膀胱が完成した.一方,肥大症モデル群では閉塞作製2週間で膀胱容量の低下,および低コンブライアンス化はみられるものの,機械的閉塞群に比しその変化は緩徐で,組織学的にも筋肥大は確認できなかった.すなわち肥大症モデル群は,顕性の低コンブライアンス膀胱を作製するには至らないものの,臨床的な前立腺肥大症に近似する過活動性膀胱が作製されているものと思われた.
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