研究概要 |
1)テロメレース活性は正常6.6%,軽度異形成25.9%,中等度異形成35.3%,高度異形成ならびに上皮内癌68.%,浸潤癌96.7%に陽性であった.異形成は正常より,浸潤癌は異形成よりそれぞれ明らかに高値を示しており,異形成の中でも程度がひどくなるほど陽性率が高くなっている. 2)異形成および浸潤癌から樹立されている培養細胞においてはすべてにおいてテロメレース活性の陽性化が認められた.正常細胞では陰性であったが,HPVウイルスによって不死化した細胞,煙草タールによって癌化させた細胞では陽性であった. 以上より,テロメレース活性の陽性化は頚癌で高率に起こっており,しかも,その多段階発癌機構のなかで,比較的早期のイベントと思われる. 3)子宮頸部腺癌症例50例、腺扁平上皮癌17例の計67例について、ホルマリン固定パラフィン包埋組織標本を用いてestrogen receptor(ER),progesterone recptor(PR)それぞれに対するモノクローナル抗体を用い、ABC法にて免疫染色を施行した. 半数以上の症例で、正常頚管腺細胞の核と間質細胞で、ER,PRは陽性であった.腺癌組織においては腫瘍組織の広い範囲にわたってER,PR陰性となったが、陽性例では限局性の染色パターンをとり、その陽性率はER19%、PR24%であった。再発死亡例は21例で、うちER陽性1例、PR陽性0例で、ER,PR陽性群は陰性群に比し有意に予後良好であった。
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