研究課題/領域番号 |
10671574
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
産婦人科学
|
研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
牧野田 知 金沢医科大学, 医学部, 教授 (80165688)
|
研究分担者 |
吉田 勝彦 金沢医科大学, 医学部, 助手 (30220635)
藤井 亮太 金沢医科大学, 医学部, 助手 (30298351)
富沢 英樹 金沢医科大学, 医学部, 助手 (40319059)
井浦 俊彦 金沢医科大学, 医学部, 講師 (40202840)
金子 利朗 金沢医科大学, 医学部, 講師 (40224604)
|
研究期間 (年度) |
1998 – 1999
|
研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
|
配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
1999年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1998年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
|
キーワード | 排卵(ovulation) / 顆粒球コロニー増殖因子(Granusocyte colony-stimulating factor:G-CSF) / サイトカイン(cytokine) / mRNA / 妊娠維持(maintenance of pregnansy) / 顆粒球コロニー増殖因子(Granulocyte colony-stimulating factor:G-CSF) / 妊娠 / 予後 / 顆粒状コロニー増殖因子(Granulocyte colony-stimulating factor : G-CSF) |
研究概要 |
免疫関連細胞のうち最多の割合を占める顆粒球の増殖因子であるG-CSFが、排卵や妊娠維持に果たしている役割を解明するため、その動態を中心に解析した。 1)排卵前後における血清中サイトカイン濃度の変動 排卵日をday=0として排卵前後の期間を7群に分け、これまでに排卵との関連が報告されているサイトカインとG-CSFの変動を解析した。その結果、TNF-α、IL-1β、IL-6、GM-CSFおよびM-CSFでは、排卵前後の各期間を通じて有意な濃度変動は認められなかった。これに対し、G-CSFでは排卵前のday:-5〜-1の時期に濃度のピーク(40.12±2.02pg/ml、M±SE)を認め、その前後の期間との間に有意な濃度差が認められ、G-CSFが他のサイトカインに比べて、より排卵現象に関与していることが示された。 2)排卵直前での血清および卵胞液中サイトカイン濃度の比較 排卵直前における血清中と卵胞液中でのサイトカイン濃度の平均を算出し、卵胞液中濃度が血清中濃度よりも高かったのはM-CSF、IL-6、G-CSFのみであった。これらの卵胞液中濃度/血清中濃度比は、それぞれ1.44、1.69、2.40であり、この現象もG-CSFの排卵現象への関与を明らかにした。 3)ヒト正常月経周期における卵胞壁組織でのG-CSFmRNA発現の変化 開腹手術を行った患者のうち充分な説明のもとに同意の得られた患者(n=14)を対象として、卵胞壁組織でのG-CSFmRNA発現の変化をReal-time quantitative RT-PCR法により定量解析した。その結果、卵胞壁組織におけるG-CSFmRNAの相対的発現量は卵胞前期15.3±0.9、卵胞後期137.7±31.9、排卵期14.8±3.7、黄体期5.3±3.5であり、卵胞後期は他のすべての時期に比べて著しく有意(p<0.00005)に高かった。 4)妊娠初期予後予測法としての母体血清G-CSF値についての検討 無月経を主訴に当科を受診し胎児心拍動を検出できないGSを認めた女性27名をインフォームド・コンセントをえた上で対象として、初診時に母体血清を採取しG-CSF値を測定し、その後の妊娠経過から正常群(n=21)と流産群(n=6)に分類した。正常群の初診時母体血清G-CSF値は51.7±4.1pg/mlで25〜105の間に分散していたのに対し、流産群では27.8±6.6で有意(p<0.01)に正常群より低値であり、分散範囲も11〜55であった。正常群のM-1.5S.D.である23.7以下ではすべての対象が流産に終わり、妊娠初期の予後判定にG-CSFが有用であることが明らかにされた。 以上の結果から、排卵や妊娠維持にG-CSFが重要な役割をしていることが明らかにされた。今後は婦人科領域を含め産婦人科領域におけるG-CSFの動態を明らかにしていくつもりである。
|