研究課題/領域番号 |
10671637
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
眼科学
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
白尾 裕 金沢大学, 医学部, 助教授 (50154365)
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研究分担者 |
高比良 雅之 金沢大学, 医学部・附属病院, 助手 (70283108)
西村 彰 金沢大学, 医学部・附属病院, 助手 (70272979)
瀬川 安則 金沢大学, 医学部・附属病院, 講師 (00262569)
桜井 真由美 金沢大学, 医学部, 助手 (50303269)
東出 朋巳 金沢大学, 医学部・附属病院, 助手 (20291370)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
1999年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1998年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 網膜 / 脈絡膜 / 一酸化窒素 / ドパミン / 律動様小波 / 低酸素 / ストレプトゾトシン / 自然発症糖尿病 / 自然発症糖尿病ラット / ストレプトゾトシン誘発糖尿病ラット / 網膜電図 / 一酸化窒素合成酵素 / 眼底血流 / 糖尿病 / 食餌制限 / OLETF / ドーパミン |
研究概要 |
ストレプトゾトシン(STZ)-DMラットおよび自然発症DMラット(OLETFラット)を用いた。 STZ-DMラットでは、網膜電図律動様小波(Oscillatory Potential、OP)が遅延しその時には網膜血管から色素は漏出しなかったが、その後インスリン治療によってOPは正常化し、OPが正常化した時期に網膜血管から色素が漏出した。網膜循環時間はOP遅延・復旧に一致して延長・復旧した。ウサギ摘出眼杯では酸素分圧の微細な低下でOPが可逆的に遅延した。 正常ラットで、無選択性一酸化窒素合成酵素(nitric oxide synthase、NOS)阻害剤あるいは選択的神経型NOS阻害剤の投与はいずれも脈絡膜血流を減少させた。脈絡膜には誘導型NOS活性はほとんどなかった。神経網膜の全NOS活性は正常ラットとSTZ-DMラットとの間で等しかったが、網膜色素上皮―脈絡膜の全NOS活性は後者で低下しており、これは主に神経型に由来した。DMにおけるOP遅延には、神経網膜および脈絡膜の双方における低灌流-低酸素状態が関与する可能性がある。 ドパミン系物質がSTZ-DMラットで有意に減少し、γ-アミノ酪酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、タウリンは変化しなかった。高血糖が網膜内ドパミン合成を障害しOP振幅の減弱を招くらしいが、OP遅延とドパミン減少の時期は一致せず、他の実験でもドパミン系薬剤は振幅のみに影響したから、OP遅延と振幅減弱の機序は異なるらしい。 自由摂食OLETFラットにおけるOP振幅は同系正常ラットに比べて大きく食餌制限OLETFラットに比べて小さかった。自由摂食OLETFラットにおいては高血糖でもコレシストキニンA受容体の異常によってOPが増大したが、食餌制限OLETFラットでは高血糖による減弱分だけさらにOP振幅が増大したと解釈される。自由摂食OLETFラットでは食餌制限OLETFラットに比較して、OPは遅延していた。網膜内ドパミン量およびチロシン水酸化酵素活性は増大していたが、γ-アミノ酪酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、タウリンは変化しなかった。自由摂食LETFラットでは同系正常ラットに較べて血管内皮増殖因子mRNA、最終糖化産物物量も増加していた。 高血糖は、網膜血流および脈絡膜血流を低下させて軽度の網膜低酸素状態をもたらしこれがOP遅延させ、また別の未解明の機序によって網膜内ドパミン代謝低下をもたらしこれがOP振幅減弱させ、OP遅延をもたらす変化は発生後短期間であれば可逆的である。
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