研究概要 |
本研究の目的はzaprinastを用いて房水流出率を向上させる方法を見いだすことであった。 ZaprinastはcGMPを上昇させるphosphodiesterase(PDE)5型アイソエンザイムの阻害薬で,ウシ眼に著明な房水流出率の改善をもたらした(この頃は平成10年度で終了)ので、房水流出率の改善にcGMP濃度を上昇させる経路を集中的に研究する意義があった。 1 平成10,11年度の結果: (1)サーボ眼潅流装置を作製した(平成11年). zaprinastは灌流3時間でベースラインの100%以上の増加を示した.しかし灌流3時間でdB-cAMPによる流出率は各々対照の、95.1±4.9,78.8±4.9,80.9±4.2%(それぞれの0.5,1.5,5mM)になった。 (2)zaprinastは縮瞳を惹起しなかった. zaprinastはウシ毛様体筋のトーヌスを変えなかった.しかしあらかじめカルバコールで収縮させておくと,zaprinast(0.1〜100μM)で筋は弛緩した. 例えば3μMのカルバコール収縮に対し10μMzaprinastの弛緩は32±3.4%であった. (3)zaprinastとsildenafilはともに摘出ウン眼の房水流出率を改善させた.その効果はzaprinastの方が強力であった. (4)線維柱帯内皮細胞と毛様体筋の培養実験をおこなった. zaprinastは細胞骨格(アクチン)を変化させた.すなわちzaprinastは2時間以内に,sidenafilは5時間で培養線維柱帯細胞を収縮させた.3AT,BCNUの存在下の反応については平成11年度の頃の記載の通り. 以上から眼の灌流実験(平成10年度),毛様体筋の電気生理および培養細胞(平成10,11年度)を用いてzaprinastと関連薬の作用機構をまとめることが出来た.zaprinastは,将来臨床応用される可能性がある. 2 本研究を通しての変更点(経費): 海外との学術交流を予定していたが、灌流流装置の制御機構に費用がかさみ,海外渡航は断念した.備品などの購入は予定の通りである.
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