研究概要 |
われわれは神経芽細胞腫細胞SK-N-SHを用いて、細胞増殖におけるグルタミン(Gln)とInsulin-like growth factor I(IGF-I)の意義をGlnの細胞内トランスポート及び蛋白、核酸合成の面から検討した。 細胞を1x10^5 cells/ml(1 ml/well)の密度で12-well tissue-culture plateに植え、24時間後にGln濃度が100μM及び2mMの培養液に変え、同時にIGF-I(50ng/ml)を投与し、1、2、3日後に細胞数を測定した。同様の方法でGln濃度を変化させた後、0,8,16,24時間後にGlnトランスポートを、24時間目に^3H-leucine incorporation及び^3H-thymidine incorporationを測定した。次に細胞を96-well tissue-culture plateに植え、24時間後に抗IGF-IR抗体(αIR 3)2 μg/mlを投与し、1、2、3日後に細胞数をMTT法で測定した。また、αIR3投与0,4,8,16,24時間後のGlnトランスポートを測定した。 IGF-Iの投与により2mM Gln,100 μM Glnの両群における細胞数は有意に増加した。100 μM GlnにおけるGlnトランスポートはIGF-I投与により8,16,24時間目に有意に上昇した。この効果はGlnトランスポートのmaximum transport velocity(Vmax)の増加によるもので、transport affinity(Km)は変化を認めなかった。2 mM Gln,100 μM Glnの両群における^3H-leucine,^3H-thymidine incorporationはIGF-I投与群で非投与群に比し有意に増加した。αIR3投与群では細胞の増殖は非投与群に比し有意に抑制された。αIR3投与群におけるGlnトランスポートは8,16,24時間後でControlに比し有意に低値であった。以上よりGlnのような重要な栄養素の欠乏状態において、神経芽細胞腫は、IGF-Iがアミノ酸トランスポートを増加させることでその増殖を維持させている可能性が示された。
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