研究課題/領域番号 |
10671694
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
形態系基礎歯科学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
進藤 正信 北海道大学, 歯学部, 助教授 (20162802)
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研究分担者 |
安田 元昭 北海道大学, 歯学部, 助手 (90239765)
小林 正伸 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教授 (80241321)
吉田 幸一 札幌医科大学, 医学部, 教授 (60117653)
東野 史裕 北海道大学, 歯学部, 助手 (50301891)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
1999年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1998年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | E1AF / Ad12E1A / HGF / DNAチップ / etsがん遺伝子群転写因子 / 結合タンパク / EIAF / ets がん遺伝子 / yeast two hybrid / RNAサブトラクション法 |
研究概要 |
口腔扁平上皮がん細胞HSC3にAd12型E1A-12S発現プラスミドを遺伝子導入し、12-12S細胞を樹立した。12-12S細胞は母細胞であるHSC3細胞と比べてE1AFmRNAおよびMMPタンパクの発現抑制が認められた。in vitro invasion assayで、12-12S細胞はHSC3のほぼ半分の浸潤活性を示した。これらの結果から、Ad12型E1A遺伝子は、E1AFの発現を低下させることにより、MMPの転写を抑制し、がん細胞のもつ浸潤活性が抑制することが明らかになり、また、AdE1Aの転写を亢進させるヒト細胞の転写因子として発見されたE1AFがAdE1Aによりその発現が抑制されることは、AdE1AとE1AFの間にネガティブフィードバック機構が存在することを示唆するものであった。 肝細胞増殖因子(Hepatocyte Growth Factor:HGF)は肝再生因子として発見され、HGFはがん細胞の浸潤、転移を強力に誘導し、胃がん・肺がん等では、原発組織中のc-MET(HGFレセプター)の発現とHGFレベルが悪性度、予後とよく相関することが報告されている。ヒト口腔扁平上皮がん由来細胞株HSC3と二種類のヒト線維芽細胞株MRC5(HGF高産生性)、Gin1(HGF低産生性)を用いたin vitro三次元浸潤モデル(raft culture)による形態学的検索では、コラーゲンゲル内への浸潤は、HSC3/MRC5で著しく、HSC3/Gin1では、がん細胞は重層化するのみでゲル中への浸潤傾向は示さず、がん細胞のin vitro運動能、浸潤能は、HGFの濃度と正の相関を示し増加した。HSC3細胞はHGF濃度依存性にE1AF mRNAの発現が亢進し、同時にMMP-1、3、9mRNAの発現も亢進した。これにより、口腔がん細胞の浸潤活性の少なくとも一部は、HGFによるがん細胞の運動性の亢進と、転写因子E1AFを介したMMP遺伝子の転写亢進によるものであることが示唆された。 遺伝子チップを用いた解析をおこなったところ、前述のMMPなどの亢進に加えてreninbinding protein、RAD51、paxillinなどが転写亢進することが証明された。今後、DNAチップにより明らかになった遺伝子・遺伝子産物の相互作用を検討する予定である。
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