研究概要 |
ソフトレーザー照射の上皮細胞に与える影響について明らかにする目的で,上皮細胞のepidermal growth factor(EGF)receptorおよび細胞外マトリックスの発現について検討した。 実験には,Normal Human Epithelial Keratinocyteを用い,レーザー装置はTrinpl D(GaAlAs半導体,波長905nm,歳代出力10W,平均出力2.4mW,エネルギー密度1.25J/cm^2の割合で細胞を播種して行い,レーザーの照射は,対数増殖期にあたる培養48時間後にプレート底面より20秒間とした。EGF receptorの発現は,免疫組織化学およびin situ hybridizationにより,また,fibronectin, lamininについてはELISAにより測定した。さらに,integrin, keratinおよびactinの発現についても検索した。 その結果,非照射群に比べ,レーザー照射群ではEGF receptorが早期に発現することが明らかとなった。また,培地中のfibronectin量に変化は認められないものの,lamininはレーザー照射群で減少していた。一方,integrinの発現はレーザー照射群で増強しており,keratinおよびactinについても,局在の変化が観察された。 以上の結果から,上皮細胞に対するソフトレーザー照射は,細胞のEGF receptorを早期に発現させ,細胞増殖を促進するものとして考えられた。さらに,ソフトレーザー照射により,integrinの発現が活性化することで,細胞接着あるいは細胞外マトリックスの産生が亢進し,細胞増殖のみならず,その分化を含めた機能発現が促進される可能性が示唆された。
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