研究概要 |
(目的)ラットの歯髄内には少なくとも4種類の侵害受容器のサブタイプが存在することが演者らの研究から明らかにされている。それらのほとんどは、Aδ-HTMとC-polymodalタイプであるが、両タイプの受容野の特徴については明らかにされていない。本研究では、in vitro標本を用いてそれらの受容野の特徴を比較した。 (方法)実験には体重200gのWistar系ラットを用い、in vitro下顎一神経標本を作製した(Toda,et.al.,J.Neurosci.Meth.,1995).受容野の検索には、先端直径0.3mmのvon Frey刺激棒を用い、閾値の強さでの受容点の分布と受容野の拡がりを調べた。侵害受容器のサブタイプの分類および伝導速度の測定のために、熱刺激、Bradykininによる化学刺激、および電気刺激を用いた。 (結果と考察)受容点の数はAδ-HTMでは3-4個存在したが、C-polymodalではほとんどのユニットで1個であった。それらの分布は、Aδ-HTMが歯髄腔先端辺縁部に沿っていたのに対し、C-polymodalでは歯髄腔根尖中央部に局在していた。受容点を結んだ受容野の面積では、Aδ-HTMのそれがC-polymodalタイプの約3倍の広さを有していた。以上により、主要な歯髄内侵害受容器のサブタイプであるAδ-HTMとC-polymodalタイプでは、受容野の性質も異なることが明らかとなった。
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