研究概要 |
アルカリホスファターゼ(ALP)活性測定というタンパクレベルで調べられてきた、さまざまな誘導現象を遺伝子発現レベルで捕らえて研究を進めてきた。すなわち、In vitroにおいては、ヒト歯根膜、歯髄、歯肉などの培養細胞におけるALP遺伝子発現について骨型、肝型の識別と制御機構の解明を行い、論文にまとめた(Calcif. Tissue. Int. 64 : 160-162, 1999)。さらにヒトの歯根膜細胞、歯髄細胞で、レチノイン酸による誘導におけるALP遺伝子発現についても論文に発表した(J.Periodon. Res. 33 : 428-433, 1998 ; Arch. Oral Biol. 44 : 861-869, 1999)。また、培養骨髄細胞を用いて低リン酸培地による誘導現象についても報告した(BBRC265 : 24-28, 1999)。In vivoにおいては、動物実験により、骨粗鬆症モデルラットなどを用いて、生体内ALPの動態の変化を酵素活性だけでなく、遺伝子発現レベルで明らかにするため、実験を継続中である。さらに生理機能解明のため、正常あるいは異常ALP遺伝子を挿入した発現ベクターを作製し、細胞に強発現させて、その分子機構についての詳しい分析を試みている。ALPの遺伝子疾患である低ホスファターゼ症(HOPS)について、PCR-SSCP法により遺伝子診断を行い(Hum. Mutat. Sup : S263-S267, 1998 ; J.Peridontol 70 : 688-691, 1999)、特に日本人に多くみつかっている1735番目の塩基のチミン欠失の異常について、詳しい分析を行い、海外にて研究発表(Bone 23 : S465, 1998)、論文にまとめた(J.Bone Mineral.Res.13 : 1827-1834, 1998)。さらにその他のALP遺伝子異常についても、臨床との関係から詳しい分析を試みているところである。
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