研究課題/領域番号 |
10671752
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
機能系基礎歯科学
|
研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
澤木 康平 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (50178828)
|
研究分担者 |
川口 充 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (20096473)
|
研究期間 (年度) |
1998 – 2000
|
研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
|
配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2000年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1999年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1998年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
|
キーワード | 唾液分泌 / 唾液腺 / ホスホリパーゼC / ベンゾジアゼピン / ベンゾジアゼピン受容体 / クロライドイオン / カルシウムイオン / 細胞内pH / ベンゾジアゼピン系薬物 / カルシウム / ベンゾジアゼピン類 / G・蛋白質 |
研究概要 |
ベンゾジアゼピン系薬物(BDZ)は、副作用として唾液分泌を抑制する。BDZは、BDZ受容体を介してCl^-、Ca^<2+>の細胞内移動に影響を及ぼし、細胞内pHを低下させ、イノシトール三リン酸(IP_3)産生を阻害する。これらの変化がBDZによる唾液分泌抑制に関与していると考えられる。しかし、BDZの唾液腺細胞内への作用については未解明の点も多い。この研究では、唾液分泌において重要な役割を果たしているイノシトールリン脂質代謝系、特にIP_3産生酵素であるホスホリパーゼC(PLC)活性に対するCl^-、Ca^<2+>、pHの影響を調べた。その結果、(1)ジアゼパムは、耳下腺細胞膜のGTP結合蛋白質(G蛋白質)およびPLC活性を直接には阻害しない。(2)耳下腺細胞膜のムスカリン受容体とG蛋白質を刺激した時のPLC活性および細胞膜をコール酸処理により得た膜可溶性画分のPLC活性は、細胞内の生理的pHである約7.2に対してpHの低下により活性が増加し、pHの上昇により活性は低下した。PLC活性の至適pHは約6.4〜6.6であった。(3)細胞膜と膜可溶性画分のPLC活性は、choline chloride濃度(>80mM)に依存して有意に減少した。(4)細胞膜と膜可溶性画分の最大PLC活性は、5×10^<-7>M〜10^<-7>MのCa^<2+>濃度で得られた。これらの結果は、Cl^-はPLC活性を阻害するが、pHとCa^<2+>の変化は必ずしも阻害しないことを示しており、BDZによる唾液分泌抑制がより明白となった。すなわち、BDZは唾液腺基底膜のGABA_A/BDZ受容体を介してCl^-の細胞内への流入を促進する。増加したCl^-によりPLC活性が抑制され、IP_3量が減少し、細胞内遊離Ca^<2+>量が減少する。その結果、腺腔膜のCa^<2+>依存性Cl^-チャネルが阻害され、Cl^-の細胞外(腺腔)への流出が抑制され、Na^+と水の移動が阻害されるために唾液分泌が抑制されると考えられる。
|