研究概要 |
前年度の研究結果から,ラット背部の上皮除去にCO_2レーザー照射は有用である可能性が示された.そこで,歯周外科時の歯肉弁剥離を仮定し,ラット背部に有茎弁を形成後,パラフィルムを挿入し,上皮の有茎弁内面への伸展を誘導した.約1週間で上皮が有茎弁内面を完全に覆うことを確認した.その後,ラット背部を4分割し,20mm×20mmの手術部位を4箇所設定した.距離を一定にするために,形成外科ハンドピースのノズルを最大に延ばした位置(焦点位置より30mm)に背部の手術部位を置いた. 時間は出力3Wで有茎弁内をオーバーラップさせ,術野全体が鮮紅色になり上皮が肉眼的に除去できたと判断できた120秒に設定した. 4箇所の20mm×20mmの術野に1箇所はレーザー照射を行わず,コントロールとした.後の3箇所はおのおの,2W,3W,5Wのレーザー照射を120秒間行い,その後,4箇所の術野内に深さ1mm,縦10mm,横10mmの切開を入れ,有茎弁を剥離翻転し,やや大きめのパラフィルムを挿入し,吸収性糸で縫合した.1週間後に組織切片を採取し,光学顕微鏡で観察を行った.コントロールには有茎弁内への上皮の伸展が見られたが,全ての3および5Wのレーザー照射で上皮のパラフィルム内の伸展は抑制できた.このことより,CO_2レーザによる上皮除去は上皮の有茎弁内への抑制に効果的であることが示された.
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