研究概要 |
部分床義歯は種々の金属材料とアクリリックレジンなどの有機材料を効果的に組み合わせて製作する補綴装置である.しかし,異なる材料を複合的に用いるため,その接合部の強度や耐久性が部分床義歯の長期的な予後に及ぼす影響が大きい.本研究は平成11年度において,床用レジンの重合方法の違いおよびメタルフレームスケルトン部の保持形態の違いが重合後のレジンの残留ひずみと金属-レジン間の剥離現象に及ぼす影響を明らかにするとともに,臨床応用した結果,得られた知見の妥当性について十分確認することができた.平成12年度ではさらに異種材料利用の妥当性を追究するという研究目的をさらに発展させ,優れた生体適合性と耐食性を有し,軽量で重量あたりの強度が高く,そして比較的安価であるなどの利点を有すチタンで製作したメタルフレームに金合金のクラスプを接合する方法を検討した.チタンを臨床応用する際の未解決な問題のひとつがろう付けの難しさであったが,現在使用可能な熱源の中でも臨床的に使いやすく,レーザー溶接と比較して経済的である赤外線ろう付けを用い,少量の金合金を予め赤外線照射によりチタンの表面で溶解することにより,この問題は解決できることが示唆された.
|