研究概要 |
アニオン重合と懸濁重合により製作したポリメチルメタクリレート粒子の物理的性質を検討した.次に,これらのポリマーを用いて製作した義歯床用レジンを重合開始部位制御システムと従来の湯中で行う湿式加熱で重合し,レジンと義歯の性能について検討した.懸濁重合したポリマー(Mn≒850,000,平均粒径≒80μm)を精製して作製した義歯床用レジンと乾燥させた石こう型内で重合させる方法とを組み合わせて使用することによりレジンの吸水量は少なく,長期間レジンの物性や適合性に優れ,乾燥状態においても変形が少ない義歯が得られた. アニオン重合したポリマーはイソタクチックポリメチルメタクリレートで,義歯床用レジンと使用した場合適正なもち状態にならず,義歯床用レジンとしては不適当であった.しかし,アニオン重合したポリマーを懸濁重合で得たポリメチルメタクリレートと混合して使用すれば,より優れた義歯床用レジンが得られる可能性があると考えられる.今後,これらの混合割合を変えてさらに優れた義歯床用レジンを開発する予定である。
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