研究概要 |
本研究は,顎口腔機能検査の自動処理化および咬合接触の客観的評価法を確立し,正常有歯顎者から診断のための正常値を求め,顎口腔機能異常患者との比較,検討を行うことを目的としている. 顎口腔機能検査は,下顎運動を切歯点で記録すると同時に,咬筋,側頭筋の前部および顎二腹筋の筋電図を最大咬みしめおよび左右ガム咀嚼について記録した.分析項目は,開口相時間,閉口相時間,咬合相時間,サイクルタイムおよびそれぞれの変動係数,また,咀嚼1ストロークごとの筋活動量(RMS値)とその左右差,最大咬みしめ時の筋活動量(RMS値)とした.これら分析項目は,コンピュータディスプレー上の切歯点の垂直成分から開口相,閉口相,咬合相それぞれの区間をマウスで選択,入力し,その全データを表計算ソフトエクセルにそのままコピーすると全てが自動的に計算されるようにした. 咬合接触の評価は,既に当教室で考案したデジタルカメラによる咬合面形態と咬合接触像の記録法を用い,新たに開発した咬合記録用個人トレーにより記録を行った.また,測定誤差を小さくするために,高い解像度で取り込み,画像の二値化の際の閾値の設定に配慮し,画像解析ソフトNIHImageを用いて,咬合接触点数,接触面積を求めた. その結果,顎口腔機能の客観的分析項目として,本研究で設定した分析項目のうち,筋電図からは最大咬みしめ時の咬筋,側頭筋の筋活動量,最大開口時の顎二腹筋の筋活動量,下顎運動からはガム咀嚼時の開口量とその変動係数および咀嚼リズムの変動係数が診断の指標としての有用性が示された.
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