研究概要 |
キチン・キトサンを結合材とする骨補填材にCaSiO_3を添加したことによる緒性質に対する影響を検討した結果,CaSiO_3量が多くなると硬化時間は短くなり,pH値は高くなる傾向であった。しかし,CaO 4.5%,CaSiO_3 6.0%,ハイドロキシアパタイト89.5%の成分が最も機械的性質が優れ,pH値も生体に近いものであった。つぎに,この成分の粉末を2.2gのキトサンゾルと練和する量を0.54g,0.67gと0.80gに変化させ,8週齢の雄のSD系ラットを用いて,脛骨内に埋入実験を行った。この結果,粉末0.54gとキトサンゾル2.2gを練和した充填材が最も骨補填材として優れていた。この骨補填材が崩壊したところに骨が形成されていることが明らかとなった。したがって,この骨補填材は骨置換材であることが示唆された。骨形成のメカニズムを解明するために,生化学的実験を試みた。その結果,DNA量は0.54gと0.80gの骨補填材の2日目に多く確認された。また,ALPaseの活性は,0.54gの骨補填材の12時間後と24時間後に高い値を得た。以上の結果から,骨補填材としてはCaO 4.5%,CaSiO_3 6.0%,ハイドロキシアパタイト89.5%の成分を有する粉末0.54gとキトサンゾル2.2gを練和することが最も優れたものであった。骨と置換することを目的に,本材料の開発を行うことが出来,ある程度の目標に到達することが出来た。しかし,もう少し短期間に骨と置換出来る材質にすることと,骨形成したい部位(骨髄内,頭蓋骨,顎堤)のすべてに骨形成が出来るような材質に改良することが今後の課題であると考えられるため,本助成を来年度申請したいと考えております。
|