研究概要 |
産卵鶏の頭蓋冠骨膜と腎臓より受容体を精製し,Na[^<125>I]で標識したニワトリカルシトニン(calcitonin,[^<125>I]CT)を用いてラジオレセプター・アッセイ(radioreceptor assay)を行いその結果をスカチャード(Scatchard)の方法により分析し,得られた解離定数(K_d)および結合能(B_<max>)を休産鶏から得たものと比較し,血漿中のイオン化カルシュウム濃度(Ca^<++>)と対比したところ休産鶏では放卵周期中,K_dやB_<max>さらにCa^<++>ともに変化が認められなかったが,産卵鶏では放卵の3時間前からその2時間後にかけて頭蓋冠骨膜と腎臓のカルシトニン受容体のK_dが低下しCa^<++>は放卵13から6時間前に低下することから,卵巣ホルモンのサージによりカルシトニン受容体の親和性が亢進するものと示唆された。放卵後14から22時間に卵殻形成に関連してカルシトニンの血中濃度が低下し,その後上昇することが報告されており,カルシトニンの分泌が高まることによってB_<max>が減少したものと考えられた。さらに休産鶏に17β-エストラジオール,プロジェステロン,ヒドロテストステロンおよびオリーブ油を投与してカルシトニン受容体のK_dやB_<max>の変化を調べたところ,17β-エストラジオールやプロジェステロンを投与した群では両組織ともにK_dやB_<max>が有意に低下し,プロジェステロンよりも17β-エストラジオールを投与したものがより作用が持続した。以上の結果より卵巣ホルモン,特に17β-エストラジオールやプロジェステロンが骨や腎臓のカルシトニン受容体に作用してその親和性を亢進させるものと思われた。
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