研究概要 |
ヒト口腔扁平上皮癌の遺伝子異常の解析をゲノム2次元電気泳動(Restriction Landmark Genomic Scanning : RLGS法)を用いて行った。まず口腔扁平上皮癌由来の培養細胞株(HSC-2,Ca9-22,HO-1-u-1、KB)について解析を終了した結果、正常の口腔扁平上皮細胞8例と対比させると、約2,000個のスポットのうち各々数十個の増強した変異スポットを見出した。(Oral Oncol.34 : 508-512,1998)。共通性のある増強スポットは13個あり、このうち4株(100%)とも増強したものは6個であった。推定される染色体は4,6,8,9-12,22番であった。減少スポットについてはコントロールである正常扁平上皮に血管内皮や少量の結合組織が含まれるため検討していない。 一方、手術材料から得られたヒト口腔扁平上皮癌11症例の組織も同様に検討した。(J.Oral Pathol. Med. 28 : 102-106 1999)。5個の増強したスポットが少なくとも64%以上の頻度で認められ、このうち1個は100%(染色体4番)であった。減弱したスポットは6個で55%以上の頻度で認められた。この結果を培養細胞における変化と対比検討するとともに、培養細胞を脱メチル剤である5-aza-2'-deoxycytidineで処理し、スポットの変動をみたところ、減弱したスポット6個のうち2個が脱メチル化剤処理した。よってこの2個のフラグメントは少なくともepigeneticなメチル化による変化と考えられ、更に残りの4個は癌抑制遺伝子の存在を示唆させた。(Oral Oncol. 投稿中)
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