研究概要 |
下顎骨切除を行った口腔領域扁平上皮癌の^<99m>Tc骨シンチグラムと^<67>Ga腫瘍シンチグラムを比較し,それらの集積像と腫瘍再発および患者の予後との関係を検討した.対照は1987年〜1996年までに当科で加療し,下顎骨切除を行った口腔領域扁平上皮癌のうち,^<99m>Tcと^<67>Gaシンチグラムが撮影された24例である.内訳は,下顎歯肉癌14例,口底癌3例,頬粘膜癌3例,下顎の顎骨中心性扁平上皮癌が4例であった.下顎辺縁切除を施行した11例のうち再発した3例は^<99m>Tcおよび^<67>Gaシンチグラムの集積を認めた。^<67>Gaシンチグラムの集積が高度で下顎片側切除術を施行した顎骨中心性症例は再発し死亡した。^<67>Gaシンチグラムの集積は、腫瘍の生物学的活性や悪性度を反映すると言われ、今回の症例においても、組織学的に下顎骨に浸潤していなかった2例は、^<67>Gaシンチグラムで下顎骨への集積像およびレントゲン検査での骨吸収像を認めなかった。また^<67>Gaシンチグラム高度陽性の4例中2例が経過不良であった。 以上より、下顎骨浸潤口腔領域扁平上皮癌において^<99m>Tcと^<67>Gaシンチグラムの集積像の比較検討は、下顎骨切除法決定の一つの資料となり、術後の腫瘍再発や、患者の予後推測に有用と考えられた。
|