研究概要 |
カルボプラチン投与(腫瘍の栄養動脈を介する)による血液毒性を避ける,あるいは軽減するため,投与量計算法を変更した。すなわち,体表面積ではなくAUCに基づいて計算した.多分割照射(週5回,1.5Gyを1日2回,総線量30Gy)の同時併用,放射線治療中のUFT内服^【○!R】(1日400-600mg)は以前の方法と変わらない. 増殖傾向の強い,進展した口腔,中咽頭扁平上皮がん(T2-4)患者20名のうち18名(90%)で腫瘍が消失,grade4の血液毒性はなく,grade3の血液毒性が3名(15%)に認められた.すなわち,原発巣の制御は良好で,重篤な血液毒性はない.Robbinsらが報告したシスプラチン大量動注(体表面積mm^2あたり150mgを週1回投与,計4回投与する),放射線同時併用療法は現在世界的に行われている.これに比べると,本療法ではシスプラチン動注前後の補液,シスプラチン中和剤(チオ硫酸ナトリウム)を必要とせず,動注回数も多くは1回であり,総線量も彼らの方法(68-72Gy)の約半分〜30Gy)である. 原発部における高い効果によって低侵襲手術が可能になった.腫瘍占拠部位の瘢痕収縮によるものである.また,これによってQOLの障害を最小限にすることができた.さらに,頸動脈と癒着した頚部転移リンパ節がみられた2名の患者で,この方法によって通常の頚部郭清をすることができた. 26羽のウサギを使った実験で,腫瘍内微小血管数と腫瘍内白金濃度は強い相関を示した(r=.875).患者40名から得た標本で微小血管数を検討したところ,血管数が多い腫瘍は化学放射線療法によく反応することが示唆された.
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