研究概要 |
1996年に日本小児歯科学会が発表した「小児の歯の外傷の実態調査」において幼若永久歯の外傷の頻度の高さが改めて浮き彫りになった。外傷により歯髄処置を必要とする幼若永久歯の症例は、多い。しかし完全抜髄および感染根管処置後の失活歯に対する根管充填処置後(Apexification)に伴う根尖閉鎖には、その由来の細胞や石灰化機構に不明な部分が多い。また添加された硬組織の不十分な石灰化が指摘されている。今回、我々は歯根の形成に関与する象牙芽細胞の基質小胞性石灰化に焦点を置いた。 実験材料は、胎生8ケ月のウシの歯胚を使用し、象牙芽細胞および象芽前質を分離し、Aliの方法に従い、コラゲナーゼ処理後、分画遠心により基質小胞面分を調製した。得られた基質小胞画分を蔗糖密度勾配遠心法により分画後、Alkaline phosphatase(ALP),Protease,Lactate dehydrogenase(LDH)を指標酵素として検索を行い、以下の結果を得た。 1.ALP,LDH,Protesaeを含む基質小胞の外に、密度が高くALP,LDHを含むがproteaseを含まない基質小胞様小胞が存在することを明らかにした。 2.基質小胸中のProteaseは、Zn^<2+>,Fe^<2+>,Co^<2+>を必要とするMetalloproteaseであった。 3.現在、基質小胸中のmetralloproteaseを精製中で、今後DNAsequenceを同定する予定である。 4.セメント芽細胞層についても同様に検索中である。
|