研究概要 |
表層約200μmを除去した抜去永久歯を通法に従って研磨処理後,0.1M乳酸緩衝液(0.3mMHAp,pH4.5)中で4時間脱灰したものをエナメル質片とした。同一歯から2個のエナメル質片を準備し,一片は同時作用群としてスラリーあるいはシートの上からレーザ照射を施し,他片は対照群としてスラリー,シートのみを施した。同時作用群と対照群の一部は,さらに人工唾液に浸漬(4週間)し,再石灰化への影響について観察した。スラリーの調製は,平均粒径が0.41μmのTCPを精製水で10〜20%にした。シートの作成は,10%TCPスラリー,寒天末,バレイショデンプンに精製水を加え,85℃で加温・溶解し,これをプラスチックシャーレに適量流し込み(厚さが30〜60μm),熟成・乾燥を行って,約5mm角に裁断した。TCPシートの密着剤として,5%CMC,0.3mMHAp溶液,75%HApスラリーを用いた。レーザ照射は,エキシマレーザ(LUMONICS)の248nm(KrF),QスイッチYAGレーザ(YAGMASTER YM-1200,LUMONICS)の基本波長1,064nmから第3高調波発生で355nmのそれぞれを70〜150mJ/cm^2で2,000shots,CO_2レーザ(OPELASER-0.3S,YOSHIDA)の10,600nmを0.8〜1.0Wで1sec.とした。 エナメル質片上のスラリーあるいはシートにレーザ照射を行うと,エキシマレーザとYAGレーザは70〜100mJ/cm^2,CO_2レーザは0.8W,1sec.でレーザアブレーションの発生が認められた。スラリーあるいはシートのTCPの脱灰エナメル質表層への固着性は,レーザアブレーションによってが促進された。さらに,CO_2レーザ照射では,スラリーあるいはシートのいずれもレーザアブレーションによると考えられるレーザアブレーションプルームの形成を認めた。固着したスラリーあるいはシートは,その後の人工唾液浸漬で再石灰化促進に寄与した。
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