研究分担者 |
熊坂 純雄 (熊坂 純夫) 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (10161697)
川瀬 俊夫 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (30084784)
内村 登 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (80104454)
齋藤 良幸 (齊藤 良幸) 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (10277907)
松澤 光洋 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (60288082)
斎藤 滋 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (80084713)
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研究概要 |
マウス骨髄細胞(BMC)との共培養系を用いた研究結果から,ヒト乳歯歯根膜線維芽細胞(HPLF-Y)およびヒト永久歯歯根膜線維芽細胞(HPLF)はヒト歯槽骨由来骨芽細胞(hOB)に比較して破歯細胞(破骨細胞)様細胞の形成に抑制的に作用しており,その抑制効果は細胞間の直接接触により著明となることが示唆された。また1α25(OH)_2vitaminD_3(D_3)とdexamethasone(Dex)の存在下で培養した歯根膜由来細胞は酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼ(TRAP)活性陽性の多核巨細胞(MNC)の形成に関与し,hOBとほぼ同レベルの破骨細胞分化支持能を発現することが示唆された。次にD_3とDexを培地に添加した状態でヒト歯根膜由来線維芽細胞,歯肉由来線維芽細胞(hGF),歯槽骨由来骨芽細胞(hOB)を培養し,各細胞よりtotal RNAの抽出を行った。得られたRNAサンプルを用いてRT-PCRにより破骨細胞の分化の初期段階に必要不可欠なサイトカインであるM-CSFに対するmRNAの発現レベルについて検索を行った。その結果,hOBおよびhGFにおいては細胞膜結合型M-CSF(M-CSFm)より分泌型M-CSF(M-CSFs)の方がmRNAレベルで優位に発現していたが,HPLF-Yでは両者がほぼ同程度のレベルで発現していた。またhOBにおけるM-CSFsのmRNAレベルはD3およびDexの添加により著明な変化は認められなかったが,M-CSFmのmRNAレベルはD_3の添加により上昇し,特にDexの存在下においてその効果は大きく認められた。一方,HPLF-YおよびhGFではM-CSFsとM-CSFmの発現量の総和に対するM-CSFmの割合はD_3の添加により減少したのに対し,Dexの添加により上昇した。これらの事実は骨芽細胞と線維芽細胞におけるM-CSFsとM-CSFmのmRNAレベルの発現量に差があり,外来の骨代謝に関与する液性因子によりその発現レベルの比率が変化する可能性を示唆するものである。
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