研究概要 |
研究目的 日本人小児の歯肉炎は,近年の食事習慣や歯口清掃不良により年々増加傾向にあり,小児歯科臨床でも,通常の診療前の歯口清掃時に歯肉から炎症のため出血する小児が多く認められる。そこで,私たちは,歯肉への血流量が多くなると炎症傾向になることより,歯口清掃前後の歯肉への血流量の変化を測定し,歯口清掃による歯肉炎の改善方法などを探求することを研究目的とした。 研究方法 1.大阪歯科大学小児歯科外来の患者,3〜5歳の乳歯列を有する小児の乳前歯部歯肉と6〜8歳の混合歯列を有する小児の永久前歯部歯肉を研究対象(約100名)とする。 2.初診時に小児の歯肉を写真撮影を行い,PHP法により前歯唇面の歯垢付着スコアーを記録しておく。さらに,レーザー血流計にて歯肉の血流量を測定する。 3.小児の歯肉を歯ブラシを用いて約30秒間歯口清掃を行わせる。 4.小児の歯肉を写真撮影を行い,PHP法により前歯唇面の歯垢付着スコアーを記録しておく。さらに,レーザー血流計にて歯肉の血流量を測定する。 5.同一対象患者を1か月後、3か月後および6か月後に来院させて,歯肉の写真撮影,PHP法による歯垢付着スコアーの記録およびレーザー血流計にて歯肉の血流量を測定する。 研究結果 1.乳前歯部歯肉は,永久前歯部歯肉よりも血流量が少ないことを認めた。 2.乳前歯部歯肉では,歯口清掃しても血流量にほとんど変化がないことを認めた。 3.永久前歯部歯肉では,歯口清掃すると血流量がかなり多くなることを認めた。 今回の研究から歯ブラシで歯口清掃することにより血流量がかなり多くなり,歯肉の腫脹や炎症による歯肉炎が改善するものと考えられる。
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