研究概要 |
ビークル成犬6頭の下顎前臼歯部顎堤に,Recombinant Human Bone Morphogenetic Protein-2(rhBMP-2)とポリ乳酸ポリグリコール酸共重合体ゼラチンスポンジ(PGS)の複合体を,インプラントフィクスチャーとともに埋入し,術後12週で屠殺し,リゴラック包埋し,非脱灰標本(頬舌断)を作製し,トルイジンブルー染色を施し,顕微鏡観察ならびに組織計測を行い,インプラント周囲組織,特に骨の再生について,その量,上皮の侵入程度を検討した. その結果は,以下の通りである. 1.レントゲン所見 : 実験群では,経時的にX線不透過性が増し,12週ではカバースクリュー近くまでX線不透過像が観察された.対照群ではX線不透過性のレベルは術直後とほとんど同じ高さであった. 2.組織所見 : 実験群では,既存骨に連続して新生骨が形成され,一部にはカバースクリューに達するほどの新生骨が観察されたが,フィクスチャー上部では,オッセオインテグレーションの度合いが低くなっていた.一方,対照群では,新生骨はほとんど形成されず,カバースクリューは露出しており,既存骨付近まで上皮は侵入していた. 3.組織計測 : 実験群の新生骨は,対照群と比較して,有意に多く形成され,上皮の侵入も有意に少なく,歯肉辺縁も有意に高い値を示した(p<0.01,paired t-test). このように,インプラント埋入と同時に,Recombinant Human Bone Morphogenetic Protein-2(rhBMP-2)とポリ乳酸ポリグリコール酸共重合体ゼラチンスポンジ(PGS)の複合体を埋植した場合には,臨床的にも組織学的にも,インプラント周囲組織の再生が促進されたことから,この複合体の埋植が、歯周組織再生療法のみならず,インプラント治療にも応用できることが示唆された.
|