研究概要 |
MMPsに共通の内因性インヒビターであるTIMPsは,様々な生物現象および炎症や腫瘍の浸潤・転移のような病態において細胞外マトリックス成分の分解を効果的にコントロールするという重要な役割を果たしている.本研究では,マウス骨髄細胞培養系における破骨細胞形成におよぼすTIMPsの影響を検討した.その結果,(1)本研究の培養系で用いたFCS中には,TIMP-1は105ng/ml,TIMP-2は107ng/ml含まれていた.(2)TIMP(+)FCSを用いた培養系にPGE2を加えることにより破骨細胞形成は促進された.また,TIMP(-)FCSを用いた培養系においても,PGE2を添加することにより破骨細胞形成は認められたが,TIMP(+)FCSにPGE2を加えた群と比較するとその破骨細胞形成は有意に抑制された.しかし,このTIMP(-)FCSにPGE2を加えた群に,TIMP(+)FCSに含まれる量と同量のリコンビナントTIMP-1およびリコンビナントTIMP-2を添加することにより,TIMP(+)FCSにPGE2を加えた群と同程度まで破骨細胞形成が回復した.またPGE2の代りにIL-1αや1α25(OH)_2D_3を添加しても,同様の結果が得られた.さらにTIMP(+)FCSにPGE2を加えた群に,抗TIMP-1および抗TIMP-2抗体を添加すると,その破骨細胞形成は有意に抑制された.
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